白猫が性格悪いは誤解｜実は愛らしい4つの特徴と仲良く暮らすコツ

「白猫は性格悪い」という噂を耳にしたことはありませんか？ 真っ白な被毛と透き通る瞳を持つ白猫。その美しさから人気がありますが、一方で「性格がきつい」「気難しい」といった評価を受けることも少なくありません。

しかし、本当に白猫は性格悪いのでしょうか？ もしかすると、それは表面的な印象や、一部の行動から生まれた誤解なのかもしれません。

この記事では、なぜ白猫は性格悪いというイメージが広まってしまったのか、その背景にある原因を詳しく掘り下げていきます。また、白猫に実際に見られやすい性格傾向や、猫の性格形成に影響を与える要因についても解説します。

猫の性格は個体差が大きいもの。白猫というだけで一括りにするのは早計です。この記事を読めば、白猫への誤解が解け、彼らの行動の裏にある理由が見えてくるでしょう。

さらに、警戒心の強い子との上手な接し方、安心して暮らせる環境作りの具体的なコツまでわかります。白猫とのより深い絆を築くきっかけとなれば幸いです。

白猫は性格悪いのか？性格がきついと言われる理由

白い毛並みが美しく、神秘的な雰囲気さえ漂わせる白猫。その一方で、「白猫は性格悪い」「性格がきつい」といった声を聞くことがあります。実際のところ、白猫は本当に性格悪いのでしょうか？

本章では、白猫の性格に関する様々な噂や疑問を掘り下げ、その真相に迫ります。噂の裏側を知ることで、白猫に対する理解が深まるはずです。

白猫の性格が悪いと感じる原因

なぜ「白猫は性格悪い」というイメージを持たれがちなのか、その背景にはいくつかの要因が考えられます。

自然界で目立つが故の警戒心

真っ白な毛色は、自然界では非常に目立つ色です。捕食者からも獲物からも発見されやすいため、野生環境で白猫が生き抜くことは容易ではありません。

この生存戦略上の不利さが、白猫の行動に影響を与えている可能性も指摘されています。つまり、他の毛色の猫に比べて、常に周囲への警戒を怠らず、慎重に行動する必要があったのではないか、ということです。

物音や見慣れないものに対して敏感に反応したり、知らない人や動物に対して距離を取ろうとしたりする行動は、白猫にとって身を守るための本能的な反応なのかもしれません。

こうした警戒心の強さが、人間から見ると「懐きにくい」「心を許してくれない」といった印象につながり、「白猫は性格悪い」というレッテル貼りに寄与している可能性があります。しかし、これは臆病さや慎重さであり、悪意のある性格とは異なります。

見た目によるイメージの先行

白という色は、文化的に様々なイメージと結びついています。「純粋」「清潔」「神聖」といったポジティブな印象がある一方で、「冷たい」「近寄りがたい」「気高い」「神経質」といったイメージを持たれることも少なくありません。

このような白に対する潜在的なイメージが、白猫を見たときの第一印象に影響を与えている可能性があります。すらりとした体型の白猫は、その白い毛色と相まって、どこかクールで孤高な雰囲気を醸し出すことがあります。

こうした姿が、「気位が高い」「ツンとしている」と受け取られ、「白猫は性格悪い」という印象を補強してしまうのかもしれません。しかし、これはあくまで外見からくるイメージであり、実際の性格とは限りません。

猫の本能的な行動と人間の解釈の違い

猫は本来、単独で狩りをして生活してきた動物です。そのため、犬のように群れで行動したり、リーダーに従ったりする習性はあまり強くありません。縄張り意識が強く、自分のペースを大切にする、気まぐれな一面を持っているのが猫という生き物です。

こうした猫本来の行動が、人間の価値観や期待とずれることがあります。例えば、構ってほしい時にだけすり寄ってきたり、抱っこを嫌がったり、急に遊びをやめてどこかへ行ってしまったり。これらの行動は猫にとってはごく自然な振る舞いです。

しかし、人間側からすると「わがまま」「自分勝手」「気分屋」と映り、「性格悪い」と感じてしまうことがあります。特に白猫に対して前述のようなイメージを持っていると、些細な行動もネガティブに解釈してしまいがちです。

白猫に見られやすい4つの性格傾向

白猫に見られる性格の傾向として、いくつかの特徴が挙げられることがあります。そのうちの代表的な4つをご紹介します。

まず、白猫は賢いと言われることが多いです。状況を把握したり、飼い主の行動をよく見ていたりする様子から、その賢さがうかがえるかもしれません。物覚えが良いと感じる場面もあるでしょう。

東京農業大学の学生が、飼い猫（雑種）244匹の飼い主を対象に実施したアンケートでも、白猫は17の性格項目のうち「賢い」の点数が高めという結果でした。

参考：小林未来 2010 ネコの毛色変異の地域差および性格との関連性 東京農業大学農学部バイオセラピー学科伴侶動物研究室卒業論文
参考：茶トラは甘えん坊、黒猫はやんちゃ　毛柄でわかる“猫の性格判断”｜AERA DIGITAL

また、白猫はあまり感情を表に出さず、マイペースに過ごすことを好む子もいるようです。落ち着いた環境を好む傾向があるとも言われます。

さらに、愛情深く社交的な性格も、白猫に見られることのある特徴の一つです。人に対して心を開きやすく、家族以外の人にも比較的好意的に接するなど、親しみやすい一面を持つ個体もいます。

加えて、飼い主に対して甘えん坊な様子を見せる白猫も少なくありません。積極的にそばに来てすり寄ったり、撫でられることを求めたりする行動は、深い信頼関係の表れとも言えます。クールな見た目とのギャップは魅力的に映るでしょう。

しかし、これらの「傾向」は、科学的根拠というよりは、多くの飼い主の観察や経験に基づいたものです。もし愛猫が白猫で、これらの傾向に当てはまる部分があったとしても、それはあくまで個性の一つとして捉えるのが良いでしょう。

白猫の性格は遺伝的要因と環境要因の両方が関与する

「白猫は性格悪い」という説に対する最も重要な反論は、「猫の性格は個体差が非常に大きい」という事実です。毛色だけで猫の性格を判断することはできません。白猫であっても、その性格は一匹一匹まったく異なります。

では、猫の性格は何によって決まるのでしょうか？遺伝的要因や環境要因など、様々な要因が複雑に絡み合って、その猫ならではの個性が形作られていきます。

猫の性格は遺伝子で決まる？

白猫がどのような性格になるかには、親から受け継いだ遺伝的な要素が関与しています。生まれ持った気質というものが、ある程度は影響を与えるのです。猫の行動や反応の仕方には、こうした遺伝的背景が反映される側面があると考えられます。

しかし、遺伝的な要因だけでその猫の性格の全てが決定されるわけではありません。性格の形成を考える上では、遺伝的要因と並んで、環境要因も無視できない要素です。この二つの要素が、猫の個性を形作る上で関わってきます。

猫の性格形成に影響を与える環境要因

生まれ持った素質ももちろんありますが、それと同じくらい、あるいはそれ以上に猫の性格形成に大きな影響を与えるのが環境要因です。主な環境要因としては、以下のようなものがあります。

特に、重要なのが早期社会化の経験です。これは、生後2〜7週齢の時期に、母猫や兄弟猫、人間、そして様々な物音や環境に触れて慣れていくことを指します。

穏やかで優しい人間にたくさん触れられ、様々な物音や環境に慣らされた子猫は、人懐っこく、物怖じしない性格になる傾向があります。逆に、この時期に人間との接触が少なかったり、怖い思いをしたりすると、警戒心が強く臆病な性格になりやすいです。

また、家庭に迎えられてからの環境も性格に影響します。飼い主との関わり方、遊びの質と量、同居動物の有無、住環境の快適さ（隠れ場所があるか、静かかなど）などが、猫のストレスレベルや安心感、ひいては性格や行動に変化をもたらします。

例えば、常に騒がしい環境や、飼い主とのコミュニケーションが不足している環境では、猫は不安を感じ、神経質になったり攻撃的になったりすることもあるでしょう。

白猫という括りではなく品種による性格の違い

「白猫」というのは毛色の特徴であり、特定の猫種を指すわけではありません。様々な品種に白い毛色の猫が存在します。

そのため、猫の性格を考える上では、毛色よりも品種による傾向の方が参考になるかもしれません。純血種の場合、それぞれの品種はその作出過程で特定の外見や性格を目指して選択的に交配されてきた歴史があります。

フィンランドのヘルシンキ大学が、4,316匹の猫の飼い主から得たアンケートデータを分析した調査でも、7つの性格・行動因子において品種間で有意差があることが示されました。​

例えば、白い毛色がよく見られる品種として、以下のような猫たちがいます。

• ターキッシュアンゴラ：知的で活発、遊び好きで人懐っこい性格と言われることが多いです。エレガントな見た目とは裏腹に、いたずら好きな一面も持つことがあります。

• カオマニー：タイ原産の白い宝石とも呼ばれる猫種。賢く、好奇心旺盛で、飼い主とのコミュニケーションを楽しむ社交的な性格と言われています。

• ペルシャ：長毛種の代表格。穏やかで物静か、マイペースでのんびりした性格の個体が多いとされています。激しい遊びよりも、静かにくつろぐことを好む傾向があります。

• ジャパニーズ・ボブテイル：短いポンポンのような尻尾が特徴。賢く、順応性が高く、家族に対して愛情深いと言われます。

もちろん、これらもあくまで一般的な傾向であり、同じ品種内でも個体差は大きいです。しかし、白猫と一括りにするのではなく、もし品種がわかっているのであれば、その品種の特性を調べてみるのも、性格を理解する一助となるでしょう。

雑種の場合は、外見的特徴から特定の品種の血を引いている可能性を推測することはできますが、性格を判断することは難しいです。

白猫の性格は年齢とともに変わる？

人間と同じように、猫の性格や行動も年齢とともに変化する傾向があります。

• 子猫期（0〜6ヶ月）：好奇心旺盛で非常に活発
• 若猫期（7ヶ月〜2歳）：成長途中でやんちゃな面が残る
• 成猫期（3歳〜6歳）：性格がほぼ定まり、落ち着きが出てくる
• 中年期（7歳〜10歳）：より穏やかになったり、逆に頑固になったりすることもある
• シニア期（11歳〜）：活動量は低下し、飼い主に依存する傾向が見られることもある

ただし、これらの変化は個体差が大きく、飼育環境や健康状態によっても異なります。例えば、適切な生活環境を提供することで、高齢になっても活発さを保つ猫もいます。

白猫の性格はオスとメスで違う？

一般的に、猫の性格はオスとメスで若干の違いがあると言われています。

しかし、これらの違いは去勢・避妊手術によって大きく軽減されます。

また、個体差や育った環境の影響の方が大きいことも多いため、性別だけで性格を判断することは適切ではありません。非常に甘えん坊なメス猫も、独立心の強いオス猫もいます。白猫においても、オスだからこう、メスだからこう、と決めつけることはできません。

白猫と黒猫の性格の違いは？

猫の毛色と性格の関連について語られる際、白猫と対比されることが多いのが黒猫です。「黒猫は穏やかで人懐っこい」というイメージを持つ人もいるかもしれません。では、実際に白猫と黒猫の性格には違いがあるのでしょうか？

特徴	白猫が言われがちな性格傾向	黒猫が言われがちな性格傾向
社交性	・神経質 ・警戒心が強い ・独立心が強い	・穏やか ・友好的 ・人懐っこい
活動性	・賢い ・慎重 ・気まぐれ	・遊び好き ・おっとり ・順応性が高い

上記の表は、一般的に流布しているイメージをまとめたものです。しかし、多くの動物行動学者や獣医師は、猫の毛色と性格の間に明確な科学的関連性を見出すことは難しいと考えています。黒猫の中にも警戒心の強い猫はいますし、白猫の中にも非常にフレンドリーな猫はたくさんいます。

結局のところ、「白猫は性格が悪く、黒猫は性格が良い」といった単純な二分論は成り立ちません。それぞれの猫が持つ個性は、毛色という一つの要素だけで決まるものではなく、遺伝、環境、経験など多くの要因によって形作られる、唯一無二なものなのです。

大切なのは、毛色による先入観にとらわれず、一匹一匹の猫と真摯に向き合うことです。

白猫の性格を知るための観察ポイント

白猫の性格を理解するためには、日々の行動をよく観察することが大切です。以下のポイントに注目してみましょう。

• 新しい環境への反応：警戒的か、好奇心旺盛か
• 飼い主との関わり方：甘えん坊か、独立心が強いか
• 他の動物との関係：友好的か、攻撃的か
• 知らない人への態度：隠れるか、興味を示すか
• 遊びの様子：どのように遊ぶのが好きか
• 食事の様子：食欲はあるか、好き嫌いはあるか
• トイレの様子：決まった場所で落ち着いてできているか
• 発声の頻度と種類：鳴き声の意味を理解する

これらの観察を通じて、白猫の個性や好みを理解することができます。そして、その理解に基づいて適切なケアや環境を提供することで、より良い関係を築けるでしょう。

性格悪いは誤解！白猫と仲良く暮らすためのコツ

「白猫は性格悪い」というイメージは、多くの場合、誤解や先入観に基づいています。

警戒心が強かったり、神経質な一面があったりする個体がいるのは事実ですが、それは個性であり、性格が悪いわけではありません。白猫の特性を理解し、適切な接し方を心がければ、深い信頼関係を築き、共に幸せな時間を過ごすことは十分に可能です。

ここでは、白猫とより良い関係を築くための具体的なコツをご紹介します。

白猫が安心できる空間づくりのポイント

白猫、特に警戒心が強かったり神経質だったりするタイプの猫が安心して暮らすためには、習性に合った環境を整えてあげることが非常に重要です。猫が「ここは安全だ」と感じられる空間を作るためのポイントをいくつかご紹介します。

• 落ち着ける隠れ家：猫は狭くて暗い場所を好みます。キャットタワーの個室、ドーム型ベッド、段ボール箱など、猫が体を隠して落ち着ける場所を複数用意してあげましょう。誰にも邪魔されずに休めるパーソナルスペースがあることは、猫の精神安定に不可欠です。

• 見晴らしの良い窓辺：外の景色を眺めることは、室内飼いの猫にとって良い刺激になります。窓辺に猫がくつろげるスペースを作ってあげましょう。ただし、窓の外に他の猫が頻繁に現れる場合は、ストレスの原因になることもあるため注意が必要です。

• 高い場所：猫は上下運動を好む動物です。また、高い場所から周囲を見渡すことで安心感を得ます。キャットタワーやキャットウォーク、棚の上など、猫が安全に登れてくつろげる高い場所を設置しましょう。窓辺に設置すれば、外を眺める楽しみも提供できます。

• 清潔なトイレと食事場所：トイレは常に清潔に保ち、静かで落ち着ける場所に設置しましょう。「猫の頭数+1個」が理想です。食事場所も同様に、騒がしくなく安心して食事ができる場所を選びましょう。水飲み場は複数箇所に設置すると、飲水量を促すのに役立ちます。

• 爪とぎの設置：爪とぎは猫の本能的な行動であり、ストレス解消やマーキングの意味もあります。様々な素材や形状の爪とぎを用意し、猫が気に入ったものを使えるようにしてあげましょう。適切な爪とぎ場所がないと、家具などで爪とぎをしてしまう原因にもなります。

大きな音や頻繁な環境変化は猫のストレスになります。可能な範囲で、静かで予測可能な環境を維持するよう努めましょう。また、猫にとって危険なもの（電気コード、有毒な植物、小さな異物など）は片付け、安全に配慮した空間にすることも大切です。

＞＞猫に快適な室内環境｜環境省

白猫との規則正しい生活リズムの確立

猫は本来、変化を好まず、決まったルーティンの中で生活することを好む動物です。特に神経質なタイプの白猫にとっては、規則正しい生活リズムが大きな安心感につながります。

• 定時の食事：1日2〜3回、決まった時間に与える
• 遊びの時間：毎日15〜30分程度、活発な遊びの時間を設ける
• 睡眠・休息の時間：安心して眠れるように、邪魔をしない時間帯を確保する
• グルーミングの習慣：定期的なブラッシングで触れ合いの機会を作る
• 健康チェック：毎日の観察で異変に早く気づく

もちろん、毎日完璧に同じスケジュールを守る必要はありません。しかし、ある程度の生活リズムを整えることで、「次は何が起こるか」を予測できるようになり、無用な不安を感じにくくなります。

飼い主の生活パターンが不規則な場合でも、猫に関わる部分だけでもできるだけ一定に保つよう工夫すると、猫の精神的な安定に繋がるでしょう。

白猫の警戒心を和らげる方法

白猫の中には、警戒心が強い傾向を持つ個体がいるかもしれません。警戒心を和らげ、安心感を与えるためには、焦らず、根気強く、猫のペースに合わせた接し方をすることが大切です。

まず、白猫に近づくときは、急な動きや大きな音は避けましょう。ゆっくりとした動作で、高めの優しい声で話しかけるのが効果的です。低い姿勢で近づくと、威圧感を与えにくくなります。目をじっと見つめると、敵意があると捉えられかねないので、視線を合わせないようにしましょう。

無理に触ろうとしたり、追いかけたりするのは逆効果です。猫が自分から近づいてくるのを待つ姿勢が基本となります。興味を示してきたら、指先の匂いを嗅がせてみることから始めましょう。

猫がリラックスしているようであれば、顎の下や頬のあたりなど、猫が好む場所を優しく撫でてみます。嫌がる素振りを見せたら、すぐに手を止めましょう。

おやつを使うのも有効な手段です。手から直接おやつを与えることで、「人間は怖くない、良いことがある」と学習させることができます。最初は少し離れた場所におやつを置き、徐々に距離を縮めていくと良いでしょう。

白猫は性格悪いのか？：まとめ

今回の記事のまとめです。

「白猫は性格悪い」という定説は、多くの場合、誤解や一面的な見方に基づいています。猫の性格は毛色だけで決まるものではなく、個体差が非常に大きいです。遺伝、社会化期の経験、飼育環境など、多くの要因が複雑に絡み合って、その猫ならではの個性が形作られます。

白猫の中にも、警戒心が強い猫もいれば、おっとりした猫、社交的な猫もたくさんいます。「白猫だからこうだ」と決めつけるのではなく、一匹一匹の猫と真摯に向き合うことが大切です。

警戒心が強い傾向のある白猫に対しては、焦らず、猫のペースに合わせて信頼関係を築くことが鍵となります。静かで落ち着いた環境を整え、規則正しい生活リズムを確立することで、猫は安心して暮らせるようになります。白猫への理解を深め、より良い関係を築いていきましょう。