キジ白とサバ白、似ているようで実は大きな違いがある2種類の柄の猫。どちらも美人が多く人気がありますが、どちらを選ぶべきか迷っている方も少なくないのではないでしょうか?
本記事では、模様の特徴から性格の傾向、そしてどちらが飼いやすいのかまで、キジ白とサバ白の違いを詳しく解説します。白キジや白サバとも呼ばれる白多めの個体や、オス・メスの性格の違いなどにも触れ、理想の猫選びのヒントをお伝えします。
それぞれの特徴を知ることで、より深く猫の魅力を理解し、自分にぴったりのパートナーを見つけることができるでしょう。ぜひ最後までお付き合いください。
キジ白とサバ白の見た目の違い:模様の特徴を解説

キジ白とサバ白は、日本の猫種の中でも人気の高い柄です。両者は一見似ていますが、実は明確な違いがあります。
キジ白は茶色がかったベースに黒い縞模様が特徴的で、サバ白はグレーがかったベースに黒い縞模様が特徴的です。本章では、キジ白とサバ白の見た目や模様の特徴を詳しく解説し、両者の違いを明確にしていきます。
- キジ白の模様の特徴:茶色ベース
- サバ白の模様の特徴:グレーベース
- 白多めの個体を白キジ・白サバと呼ぶ場合もある
キジ白の模様の特徴:茶色ベース

キジ白は、その名の通り「キジトラ」と「白」の2種類の被毛を持つブチ猫です。茶色がかったベースに黒っぽい縞模様が入ったキジトラ模様に、白い毛色が混ざっています。
キジトラの「キジ」という名前は、日本の国鳥であるキジの模様に似ていることに由来します。キジトラは、日本の猫で最も多いとされる柄です。
- 模様の分布
・頭や背中、しっぽにキジトラ模様(縞模様)が多く出る
・顔の一部やお腹、足に白が入る
・白の範囲には個体差があり、白が多い子も少ない子もいる - 顔の特徴
・目の上にM字模様が出やすい
・鼻筋に白が入ることが多い
・口元やアゴが白いことが多い - 体の特徴
・背中やしっぽはキジトラ模様が強い
・足は白い靴下のような模様の子もいる
・お腹が白いことが多い
キジトラは、家猫の祖先と言われている「リビアヤマネコ」に最も近い模様です。キジトラの縞模様は、野生環境でのカモフラージュとして機能していたと考えられます。木の枝や落ち葉などに溶け込むことで、外敵から身を守ったり、獲物に気づかれずに近づいたりすることができたのでしょう。
ちなみに、こちらがリビアヤマネコです。

キジ白にもこの縞模様は受け継がれており、背中やしっぽなどに現れます。縞の太さや濃さは個体によって異なり、太くはっきりとした縞模様を持つ猫もいれば、細く薄い縞模様を持つ猫もいます。
また、白の面積の割合も個体差が大きいです。ほぼ全身が茶色で、一部に白い模様が入る猫もいれば、逆にほぼ全身が白で、顔や尻尾、背中などに茶色の模様が部分的に残る猫もいます。
このように、キジ白の模様は非常にバリエーション豊かで、同じ模様を持つ猫はまずいないと言えるでしょう。一匹一匹の個性的な模様を楽しむことができる点が、キジ白の魅力の一つです。キジトラのワイルドさと、白毛の可愛らしさが絶妙にミックスされた模様は、多くの人々を魅了します。
サバ白の模様の特徴:グレーベース

サバ白は、「サバトラ」と「白」の2種類の被毛を持つブチ猫です。グレーがかったベースに黒っぽい縞模様が入ったサバトラ模様に、白い毛色が混ざっています。
サバトラの「サバ」という名前は、魚のサバの模様に似ていることに由来します。サバトラは、キジトラなどのトラ猫と海外から持ち込まれた洋猫が交配して誕生したという説が有力です。日本で見られるようになったのは戦後になってからだと言われていて、キジトラと比べると希少な柄です。
- 模様の分布
・頭や背中、しっぽにサバトラ模様(縞模様)が多く出る
・顔の一部やお腹、足に白が入る
・白の範囲には個体差があり、白が多い子も少ない子もいる - 顔の特徴
・目の上にM字模様が出やすい
・鼻筋に白が入ることが多い
・口元やアゴが白いことが多い - 体の特徴
・背中やしっぽはサバトラ模様が強い
・足は白い靴下のような模様の子もいる
・お腹が白いことが多い
サバ白の白の面積の割合も個体によって差が大きいです。全身のほとんどがグレーで、わずかに白い部分が入る猫もいれば、逆にほとんどが白で、顔や耳、尻尾、背中などにグレーの模様が部分的にある猫もいます。サバ白の模様も多様性に富んでおり、同じ模様を持つ猫はいないでしょう。
サバ白の魅力は、その上品で洗練された見た目にあります。グレーの縞模様と白のコントラストが美しく、キジ白よりもクールな雰囲気になることが多いです。
白多めの個体を白キジ・白サバと呼ぶ場合もある

キジ白やサバ白の白い部分の割合によって、呼び方が変わることがあります。白い部分が多い場合、「白キジ」や「白サバ」と呼んで区別することがあります。
ただし、この呼び方は統一されていません。人によって解釈が異なる場合があります。一般的には、白い部分の割合に関わらず、キジトラやサバトラの模様と白い部分が混在している猫を総称して「キジ白」「サバ白」と呼ぶことが多いようです。その時々で使い分けるとよいでしょう。
キジ白とサバ白の性格の違い:柄が性格に影響するのか

猫の性格は個体差が大きく、一概に柄で決まるものではありません。しかし、キジ白とサバ白の間には、一般的な傾向として性格の違いが見られることがあります。
本章では、キジ白とサバ白の性格傾向や、柄と性格の関係について探っていきます。
- キジ白の性格傾向:活発で好奇心旺盛な傾向?
- サバ白の性格傾向:穏やかな性格が多い?
- 柄で性格は決まらない?性格形成に影響を与える環境要因とは
- オスとメスで性格は変わる?
- キジ白とサバ白、どっちが飼いやすい?選び方のポイント
- 子供や他のペットとの相性は?家庭環境別の選び方
- 性格に合った飼い方とは?キジ白・サバ白に適した生活環境
キジ白の性格傾向:活発で好奇心旺盛な傾向?

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キジ白の主な性格傾向は以下の通りです。
- 活発でやんちゃ、好奇心旺盛
- 野生の本能が強く、ハンター気質
- キジトラより穏やか
- 人懐っこく、甘えん坊な一面も
キジ白の猫は、一般的に活発で好奇心旺盛な性格をしていると言われています。キジトラの血を引いているため、野生の本能が強く、遊びを通して狩りの動きを好むハンター気質を持ち合わせていることが多いです。おもちゃを追いかけたり、高い場所に登ったりするのを好むでしょう。
一方で、白毛の入る猫はやや穏やかになると言われているので、完全なキジトラよりは柔らかい性格の子が多いです。人懐っこく甘えん坊な性格で、飼い主さんに撫でられるのが大好きです。ゴロゴロと喉を鳴らして甘えてくる姿は、飼い主さんにとって癒やしとなるでしょう。
東京農業大学が、2010年に飼い猫(雑種)244匹の飼い主を対象に実施したアンケートでも、キジ白は17の性格項目のうち「甘えん坊」「人懐っこい」「好奇心旺盛」「活発」の4項目が他の猫と比べて点数が高いという結果だったそうです。
また、キジトラと比べると、「おとなしい」「おっとり」「温厚」「甘えん坊」「人懐っこい」「従順」といった項目は点数が高くなり、逆に「気が強い」「わがまま」「攻撃的」といった項目は低くなりました。
参考:小林未来 2010 ネコの毛色変異の地域差および性格との関連性 東京農業大学農学部バイオセラピー学科伴侶動物研究室卒業論文
参考:茶トラは甘えん坊、黒猫はやんちゃ 毛柄でわかる“猫の性格判断”|AERA DIGITAL
上記の調査を指導した元東京農業大学教授で動物学者の大石孝雄さんの著書です。猫の性格と毛色との関係についても書かれています。
大石孝雄さんが監修したトラ猫の本も出版されています。
サバ白の性格傾向:穏やかな性格が多い?

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サバ白の主な性格傾向は以下の通りです。
- 穏やかで賢い
- 慎重で、初対面にはやや警戒心が強い
- おっとり&マイペース
- 慣れると甘えん坊になることも
サバ白の猫の性格の傾向としては、サバトラ譲りの穏やかさや賢さ、慎重さが見られることがあります。やや警戒心が強く、懐くまでに時間がかかることもあるので、時間をかけてゆっくりと慣れてもらうことが重要です。
一方で、白い毛色が入ることから、おっとりとしていたり、マイペースな一面を持つ子もいると言われます。また、心を許した相手には、甘えん坊になることも多いです。
サバトラやサバ白は、先ほど紹介した東京農業大学の調査の対象ではありませんでしたが、2022年に発表された法政大学の調査では、サバトラはキジトラと比べて「温厚」の点数が特に高く、「外向」「警戒」がやや高め、「自己中心性」「こだわり」が低いという結果でした。
柄で性格は決まらない?性格形成に影響を与える環境要因とは

猫の毛色や柄が性格を決定づけるという考えには、科学的な裏付けがありません。猫の性格は、生まれ持った素質に加えて、様々な環境要因によって大きく変化します。同じ柄の猫でも、育った環境が異なれば全く違う性格になることが珍しくありません。
猫の性格形成に影響を与える主な環境要因は以下の通りです。
- 母猫との関係
- 兄弟猫や他の動物との関わり
- 人間との関わり
- 生活環境
まず、性格形成に大きな影響を与えるのが母猫の存在です。早い時期に母猫から離されてしまった子猫は、精神的に不安定になったり、問題行動を起こしやすくなったりすることがあります。
また、兄弟猫や他の動物との関わりも重要です。特に生後2週齢から7週齢頃(長く見て9週齢頃まで)は「社会化期」と呼ばれ、この時期に兄弟猫とじゃれ合うことで、噛む力の加減や猫社会のルールを学びます。
人間との関わりも、猫の性格に大きな影響を与えます。社会化期の人間との良好な接触は、人間への信頼感を育み、人懐っこい性格になる可能性を高めます。逆に、怖い思いをした経験があると、人間を警戒するようになってしまうでしょう。
さらに、生活環境も無視できません。安心してくつろげる寝床があるか、隠れられる場所があるか、爪とぎや遊び道具は十分かなど、ストレスの少ない環境で育つこと、暮らすことが、穏やかな性格につながると考えられます。
このように、猫の性格形成には、様々な遺伝的要因や環境要因が関係しています。キジ白やサバ白といった毛色や柄は、猫の性格を完全に決定づけるものとは言えないのです。
オスとメスで性格は変わる?
猫は性別によっても性格に差が見られることがあります。
一般的には、オス猫はメス猫に比べて甘えん坊で、飼い主さんとのスキンシップを好む子が多い傾向です。一方で、縄張り意識が比較的強く、他のオス猫への攻撃性を示すこともあります。
去勢手術を行うと、こうした性ホルモン由来の行動は軽減され、より穏やかで甘えん坊な性格になる傾向が強まると考えられています。
メス猫は、オス猫に比べてクールで自立心が高いと言われることが多いです。自分のペースを大切にし、あまりベタベタされるのを好まない、気分屋な一面を持つ子もいます。
しかし、これらはあくまで全体的な傾向の話です。性別は性格を構成する一要素に過ぎず、その猫が持つ個性や、育ってきた環境によっても大きく異なります。
キジ白とサバ白、どっちが飼いやすい?選び方のポイント

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キジ白とサバ白の飼いやすさを比較する際、一概にどちらが飼いやすいとは言えません。それぞれの猫の個性や飼い主のライフスタイルによって、相性が異なるからです。
キジ白とサバ白の一般的な特徴を比較すると、以下のような傾向があります。
- 活動量:キジ白は比較的活発で、サバ白はやや落ち着いた傾向
- 社交性:キジ白は人懐っこい子が多く、サバ白は慎重な子が多い傾向
- 適応力:キジ白は新しい環境に順応しやすいく、サバ白は環境の変化に敏感な傾向
- 手入れの必要性:毛の長さや質によって異なるが、柄による大きな差はない
- 健康面:柄による大きな違いはないが、個体差や遺伝的要因に注意が必要
これらの特徴を踏まえ、自分のライフスタイルと猫の性格が合っているか考慮することが重要です。
例えば、活発な猫が好きな方や、一緒に遊ぶ時間が十分に取れる方であれば、キジ白が適しているかもしれません。一方、落ち着いた雰囲気の猫を求める方には、サバ白が合う可能性があります。
ただし、これらはあくまで一般的な傾向であり、個体差が大きいことを忘れてはいけません。実際に触れ合ってみて、その猫の性格や行動を観察することが、最も確実な選び方です。保護施設などで複数の猫と触れ合う機会を持つことも、自分に合った猫を見つける良い方法と言えるでしょう。
子供や他のペットとの相性は?家庭環境別の選び方

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キジ白やサバ白を家族の一員として迎える際、子供や他のペットとの相性も重要な考慮点です。家庭環境に応じた選び方のポイントを紹介します。
- 活発で遊び好きな猫が適している場合が多い
- 子供の年齢や性格も考慮し、穏やかな性格の猫を選ぶのも一案
- 社会化が十分になされた猫を選ぶことが重要
一般的に、キジ白は活発で遊び好きな傾向があるため、元気な子供と相性が良い場合があります。一方、サバ白は比較的穏やかな性格が多いため、小さな子供がいる家庭に適しているかもしれません。
- 既存のペットの性格を考慮し、相性の良さそうな猫を選ぶ
- 年齢や性別のバランスも重要
- 段階的な導入を心がける
犬がいる家庭では、犬に慣れている猫や、犬との相性が良い猫を選ぶことが大切です。キジ白もサバ白も、適切な社会化がなされていれば、犬と仲良く暮らせる可能性が高いです。
小動物(ハムスターなど)がいる家庭では、猫の狩猟本能を考慮し、小動物との接触を避ける環境づくりが必要になります。
- 落ち着いた性格の猫が適していることが多い
- 過度に活発な猫は、転倒のリスクを高める可能性がある
- 手入れが比較的簡単な猫を選ぶのも一案
サバ白は比較的穏やかな性格が多いため、高齢者のいる家庭に適している可能性があります。ただし、キジ白でも落ち着いた性格の個体もいるため、実際に触れ合って確認することが重要です。
いずれの場合も、猫を迎え入れる前に家族全員でよく話し合い、それぞれの猫の性格を理解した上で慎重に決断することが大切です。
性格に合った飼い方とは?キジ白・サバ白に適した生活環境

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キジ白とサバ白の猫は、それぞれの性格傾向に合わせた飼い方や環境づくりが大切です。
まず、キジ白は一般的に活発で遊び好きな性格が多いと言われています。このような性格に適した飼い方のポイントは以下の通りです。
- 広めの遊びスペースを確保する
- 遊び道具を用意し、たっぷりと遊ぶ時間を設ける
活発で遊び好きなキジ白の猫には、十分な運動スペースと、おもちゃが必要です。キャットタワーやトンネルなどを用意して、猫が自由に遊べる環境を整えましょう。また、知的好奇心を満たすために、知育玩具などを与えるのもおすすめです。
一方、サバ白の猫は比較的穏やかで落ち着いた性格が多いとされています。サバ白に適した飼い方のポイントは以下のようなものがあります。
- 静かで落ち着ける空間を用意する
- 急激な環境変化を避け、徐々に新しい環境に慣れさせる
穏やかで優しいサバ白の猫には、落ち着いてくつろげるスペースが必要です。日当たりの良い場所に、猫用のベッドやクッションを用意して、猫が安心して眠れる環境を整えましょう。また、コミュニケーションを大切にし、毎日スキンシップをとるようにしましょう。
ただし、これらはあくまで一般的な傾向です。実際の飼育では、その猫の個性をよく観察し、適切な環境を整えることが重要です。
また、キジ白とサバ白、どちらの猫を飼う場合でも、共通して大切な飼育のポイントがあります。それは以下の通りです。
これらのポイントを押さえることで、キジ白もサバ白も健康で幸せな生活を送ることができるでしょう。
キジ白とサバ白の見た目や性格の違い:まとめ
今回の記事のまとめです。
キジ白とサバ白の猫は、外見や性格傾向に違いがありますが、個体差も大きいことを忘れてはいけません。飼い主として大切なのは、猫の個性を理解し、適切な環境と接し方を提供することです。子供や他のペットとの相性、家庭環境に合わせた選び方も重要な考慮点となります。
キジ白やサバ白に関わらず、猫との信頼関係を築くには時間と忍耐が必要です。愛情を持って接し、猫の性格や好みをよく観察しながら、最適な飼育環境を整えていきましょう。そうすることで、猫との幸せな暮らしを実現できるはずです。