猫のトイレ選びは、猫と飼い主の快適さを左右する大切な要素です。
最近ではシステムトイレが人気ですが、その便利さの裏にはいくつかの問題も潜んでいます。
システムトイレをやめて、普通の猫トイレに切り替える飼い主さんも少なくありません。
本記事では、猫のシステムトイレをやめた理由や、普通のトイレの選び方、猫砂の選び方など、トイレに関する幅広いトピックについて詳しく解説します。
これらの情報を参考に、猫にとって最適なトイレ環境を整えるヒントを見つけてください。
システムトイレをやめた飼い主もいる?
システムトイレは便利そうに見えますが、実際に使ってみると問題点が浮かび上がることがあります。
システムトイレをやめて、普通の猫トイレに変える飼い主さんもいます。
システムトイレをやめた理由
猫のシステムトイレをやめた理由は飼い主さんによって様々ですが、代表的な理由としては猫の好みや丸洗いの手間の問題が挙げられます。
これらの問題点について詳しく見ていきましょう。
- 理由1:猫のストレスになる可能性がある
- 理由2:丸洗いの手間がかかる
理由1:猫のストレスになる可能性がある
猫にとって、システムトイレは理想的なトイレとは言えません。
一般的に、猫は細かい砂を好みます。
しかし、システムトイレ専用の砂は、すのこから落ちないように粒が大きめです。
そのため、砂を踏んだときの感触が、猫の好みに合わず、使用を拒むことがあります。
また、臭いも懸念点の1つです。
猫の嗅上皮(匂いを感知する部位)は人間の約5倍以上の面積があり、嗅神経細胞(匂いを感知する細胞)は人間の約4倍存在すると言われています。
そのため、人間には感じ取れない臭いも猫は感じ取れる可能性が高いです。
システムトイレは網目に汚れが付着しやすいので、人間には臭いが気にならなくても猫にとっては臭いが不快な可能性があります。
また、シートを1週間交換しないのも、猫にとっては臭いが気になる可能性があるそうです。
崩れるタイプの木質ペレットを使うと臭いは軽減できますが、粒が大きくて断面が尖っているので嫌がる猫もいます。
もう実行されてるかもしれませんが、トイレの砂を、変えてみたらいいかもです☺️
— Erina (@Erina23548417) March 31, 2024
うちの猫は、先住猫がシステムトイレ派だったので、同じものを用意していたのですが、布団にばかり粗相していました😅
普通の猫砂にしたら、全く粗相しなくなりました☺️
猫のトイレ不満サインに注意
猫はトイレが気に入らないと、トイレを我慢したり、他の場所で排泄してしまったりすることがあります。
アメリカ・ミズーリ州にある「ネスレ ピュリナ ペットケア」のチームが、2017年に猫の排泄行動を調査した結果によると、トイレに不満があるときの猫の行動には以下のような特徴が見られました。
トイレに不満がある場合でも、我慢しながらトイレを使い続けるケースが多いそうです。
これらのサインが見られたら、たとえ粗相をしなくても、猫の健康のためにトイレ環境を見直してあげる必要があるのです。
これ…
— 豆太@vtr250 (@kyonta_399) March 29, 2022
トイレ気に入ってない証拠だったんか!
ポータブルに変えたから…?
それとももう一個トイレ設置しないとあかんか…。 pic.twitter.com/04lmkR3pvp
理由2:丸洗いの手間がかかる
飼い主にとってのデメリットは、丸洗いの手間がかかることです。
一般的なシステムトイレは、以下のような4つのパーツでできています。
- カバー
- すのこ
- 土台
- 引き出しトレー
そのため、丸洗いする際に時間がかかります。
すのこの網目に砂などが詰まってしまうことも多いです。
一方、普通のトイレはパーツが2つ、中には1つだけのものもあります。
システムトイレと比べると、丸洗いの手間が少なくて済みます。
システムトイレのメリット
猫のシステムトイレと普通のトイレ、どちらにもメリットとデメリットが存在します。
システムトイレをやめる前に、システムトイレのメリットを確認しておきましょう。
- 毎日の掃除が簡単
- 猫砂が飛び散りにくい
- 尿の状態を観察しやすい
毎日の掃除が簡単
システムトイレの魅力の一つは、毎日の掃除が非常に簡単なことです。
システムトイレは、上段のすのこと下段のトレーの2層構造になっています。
このため、おしっこはすのこを通過して下のシートに吸収されるので、毎日の掃除はうんちを取り除くだけで済みます。
猫砂が飛び散りにくい
システムトイレは、大粒の猫砂を使用することが多く、猫がトイレを使用する際に砂が飛び散りにくいです。
これにより、トイレ周りが砂だらけになることが少なく、掃除の手間が大幅に減ります。
特に、リビングなどの生活空間にトイレを設置している場合、砂の飛び散りが少ないことで部屋を清潔に保ちやすいです。
尿の状態を観察しやすい
システムトイレは、おしっこが下段のシートに吸収されるため、白いシートを使えばおしっこの色や状態を簡単に観察することができます。
これにより、おしっこの異変に気づきやすいです。
また、シートなしで使えば、採尿も非常に簡単です。
病院での尿検査が必要な場合でも、自宅で手軽におしっこを採取できます。
普通のトイレへの移行方法
システムトイレから普通のトイレへの移行は、猫にとって大きな環境変化です。
そのため、慎重に進める必要があります。
まず、システムトイレと普通のトイレを並べて設置し、猫がどちらも使用できるようにします。
猫が新しいトイレを使い始めて、システムトイレを使う頻度が減ったら、最終的にシステムトイレを撤去しましょう。
可能であれば、複数の新しいトイレを設置すると、猫が選択できる幅が広がります。
普通のトイレの種類と選び方
システムトイレをやめて普通のトイレに移行する際、適切なトイレを選ぶことが重要です。
ここでは、普通のトイレの主な種類と、選び方のポイントについて解説します。
- オープンタイプとカバー付きタイプの違い
- サイズと形状の選択
オープンタイプとカバー付きタイプの違い
普通の猫トイレには、大きく分けてオープンタイプとカバー付きタイプがあります。
オープンタイプは、シンプルな箱型で上部が開放されています。
このタイプは、猫が出入りしやすく、飼い主も中の様子を確認しやすいのがメリットです。
一方で、猫砂の飛び散りや臭いの拡散が気になる場合があるかもしれません。
カバー付きタイプは、屋根や壁で囲まれた構造になっています。
このタイプは、猫砂の飛び散りや臭いの軽減に効果的です。
ただし、掃除の際にカバーを外す手間が増えます。
また、猫によっては、屋根に背中が当たることや臭いがこもることを嫌がる場合があります。
サイズと形状の選択
トイレのサイズと形状は、猫の快適さと使いやすさに直結します。
一般的に、猫のトイレは体長の1.5倍以上のサイズが適していると言われています。
これは、猫がトイレ内で方向転換できるスペースを確保するためです。
ライオン商事株式会社(現:ライオンペット株式会社)と東京猫医療センターの服部幸院長が、2019年に計78匹の雑種猫を対象に実施した共同調査では、横幅40cm・50cm・60cmのトイレを設置したところ、50cm以上のトイレでの排泄回数が全体の7割強を占める結果となったそうです。
- 普段使用しているトイレ:27回
- 横幅40cm:39回
- 横幅50cm:82回
- 横幅60cm:83回
また、猫の年齢や身体的特徴を考慮することも重要です。
子猫や高齢猫、関節に問題がある猫には、入り口が低めのものが適しています。
猫砂の種類と選び方
猫砂は、猫のトイレ環境を快適に保つ重要な要素です。
様々な種類の猫砂が存在し、それぞれに特徴があります。
ここでは、主な猫砂の選び方のポイントやおすすめの種類についてご紹介します。
- 猫砂の選び方のポイント
- おすすめは鉱物系の猫砂
猫砂の選び方のポイント
猫砂を選ぶ際は、いくつかの重要なポイントがあります。
中でも、特に考慮すべきなのが猫の好みです。
せっかく普通のトイレに変えても、砂が気に入らなくて猫が使うのを嫌がるのでは意味がありません。
市販されている猫砂は様々な種類があるので、猫砂を購入する前にそれぞれの特性を理解しておきましょう。
普通のトイレ用の猫砂の主な素材としては、以下のようなものがあります。
- 主原料:ベントナイトなどの粘土鉱物
- メリット:
◦吸水性が高く、固まりやすい
◦消臭効果が高い
◦本物の砂に感触が近い - デメリット:
◦重量が重く、持ち運びが大変
◦飛び散りやすい
◦粉塵が出やすい
- 主原料:再生パルプなど
- メリット:
◦軽量で扱いやすい
◦おしっこの色を確認しやすい
◦燃えるゴミとして処分できる - デメリット:
◦湿気に弱く、固まりにくい
◦消臭力がやや劣る
◦軽いので散らかりやすい
- 主原料:ヒノキの廃材やおがくずなど
- メリット:
◦天然素材で環境に優しい
◦自然な木の香りで消臭効果がある
◦軽量で扱いやすい
◦燃えるゴミとして処分できる - デメリット:
◦散らばりやすい
◦湿気に弱い
◦固まりにくいものが多い
- 主原料:おから(豆腐製造時の副産物)
- メリット:
◦食べ物が原料で安全性が高い
◦軽量で扱いやすい
◦粒が大きく、飛び散りにくい
◦燃えるゴミとして処分できる - デメリット:
◦固まるまでに時間がかかる
◦独特の臭いがする
◦猫が食べてしまう場合がある
- 主原料:シリカゲル(主成分は二酸化ケイ素)
- メリット:
◦吸水性に優れている
◦消臭効果が高い
◦水分を吸収しても固まらず、排泄物の処理が楽
◦システムトイレにも使える - デメリット:
◦価格が高め
◦粉塵が舞いやすい
◦排尿の際に音がする場合がある
おすすめは鉱物系の猫砂
5種類の中で、特におすすめなのが鉱物系の猫砂です。
鉱物系の猫砂は、粒が細かく本物の砂に感触が近いので、多くの猫に好まれる傾向にあります。
また、適度な重さがあることから、猫が本能的に行う掘る行動を満足させやすいです。
さらに、臭いを効果的に吸収・封じ込める性質があり、猫の嗅覚を刺激しにくいです。
ライオン商事株式会社(現:ライオンペット株式会社)と東京猫医療センターの服部幸院長が、2019年に計46匹の雑種猫を対象に実施した共同調査では、鉱物系の猫砂での排泄回数が木系・紙系と比べて多いという結果が出ました。
- 鉱物系:258回
- 木系:152回
- 紙系:66回
(※トイレ容器はすべて同じ)
商品によっては粉塵が出やすいので、ダストカットされていて、無香料のものを選ぶようにしましょう。
システムトイレを改造:DIYですのこを塞ぐ
システムトイレをやめたいけれど、普通のトイレを使ってくれるか試したい場合やシステムトイレを処分するのがもったいない場合は、システムトイレを改造してすのこを塞ぐ方法もあります。
システムトイレの問題点を解決しつつ、現在のトイレを活かすことが可能です。
材料は、100円ショップやホームセンターなどで簡単に入手できます。
必要な材料は以下の通りです。
- プラスチック板
- ハサミ
まず、すのこのサイズに合わせてプラスチック板をカットします。
すのこの上にプラスチック板を敷いたら、普通の猫トイレ用の砂を入れて完成です。
ただし、この方法だと、隙間から砂が落ちてしまいます。
もし、すのこの網目を完全に塞いでしまいたい場合は、YouTubeのこちらの動画が参考になります。
システムトイレをやめた:よくある質問
最後に、よくある質問とその回答を紹介します。
システムトイレを続ける場合、どのように改善すれば良い?
システムトイレを続ける場合でも、いくつかの改善策があります。
まず、猫砂のサイズを見直しましょう。
大粒の砂は散らばりにくいですが、多くの猫は細かい粒の砂を好みます。
また、シートを毎日交換するようにすると、臭いによる猫の不快感が和らぐ可能性があります。
それから、水洗いの頻度も重要です。
水洗いは月に1回が基本ですが、余裕があるなら1週間~2週間に1回行うようにすると衛生状態が向上します。
その他に、複数のトイレを設置したり、トイレの設置場所を見直したりすることも効果的です。
システムトイレに固まる猫砂は使える?
システムトイレに固まる猫砂は使えません。
システムトイレの特徴は、上段の猫砂が固まらず、下段のトレーにあるシートで尿を吸収することです。
そのため、固まる猫砂を使うと、上段で固まってしまい、システムトイレの性能を活かせなくなります。
システムトイレには、固まらないタイプの猫砂を使用するのが一般的です。
最近は、崩れるタイプの木質ペレットも人気です。
もし、システムトイレで固まる猫砂を使いたいときは、DIYで改造してすのこを塞ぎましょう。
システムトイレをやめた:まとめ
今回の記事のまとめです。
システムトイレには毎日の清掃の簡便さや猫砂の飛び散りにくさなどのメリットがある一方で、猫の好みによっては使いにくい、丸洗いの手間がかかるなどのデメリットもあります。
システムトイレをやめるか続けるかは、猫の好みと飼い主のライフスタイルに合わせて決めることが大切です。
トイレの種類や猫砂の選択、臭い対策など、様々な要素を検討しながら、最適な環境を整えましょう。
どちらの選択をするにしても、猫の健康と快適さを最優先に考えることが重要です。