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猫のアログルーミングと上下関係の謎|一方的に舐める真意とは?

猫のアログルーミングと上下関係の謎|一方的に舐める真意とは? 心理・行動
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多頭飼いのお家で、猫たちが互いを舐め合う姿は本当に癒やされますよね。でも、よく観察すると「いつも片方だけが一方的に舐めている」なんて不思議に思うことはありませんか?実は、猫のアログルーミングには、単なる愛情表現だけでなく、上下関係や複雑な心理が隠されているんです。

微笑ましく見ていたのに、しつこい毛づくろいに相手が嫌がるそぶりを見せたり、急にガブッと噛む行動に出て喧嘩になりかけたり。「オス同士でも舐め合うの?」「兄弟なのに全然舐め合いをしない」「人間を舐めるのは下に見ているから?」など、飼い主さんの疑問は尽きないでしょう。

この記事では、そんな猫のアログルーミングと上下関係の謎について詳しく解説します。猫たちの本音を知って、関係改善のヒントを見つけましょう。

この記事を読むとわかること
  • 一方的なグルーミングに隠された猫の心理と役割
  • 舐め合いから喧嘩に発展する予兆と正しい止め方
  • 飼い主を舐める時の気持ちや関係性のチェック法
  • 多頭飼いのストレスを減らす環境づくりのコツ
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猫のアログルーミングに隠された上下関係の真実を解説

猫のアログルーミングに隠された上下関係の真実を解説

「アログルーミング(allogrooming)」の「アロ」は「他者」、「グルーミング」は「毛づくろい」を意味します。つまり、自分以外の個体に対して行う毛づくろいのことです。

猫たちの関係性を知るうえで、アログルーミングはとても重要な手がかりになります。しかし、「舐める=ボス」という単純な図式だけで説明できるほど、猫の社会は単純ではありません。

ここでは、アログルーミングが持つ本当の意味や、まことしやかに囁かれる「上下関係説」の真偽について、学術的な知見を交えながら紐解いていきます。

  • セルフグルーミングとアログルーミングの違い
  • 片方だけが一方的に舐める理由とは?
  • アログルーミングだけで上下関係は決まらない?
  • 舐めていたのに突然噛むのはなぜ?
  • 耳の中やおしりまで舐めるケースもある?
  • オス同士でもアログルーミングをするの?
  • 血縁関係(親子・兄弟)やなじみ度との関連は?
  • アログルーミングをしない猫同士は仲が悪いの?
  • 一部の猫がアログルーミングの輪に入れないのは?
  • 猫が人間を舐める時は飼い主を下に見ているの?

セルフグルーミングとアログルーミングの違い

セルフグルーミングとアログルーミングの違い

猫が自分の体を舐める「セルフグルーミング」と、相手を舐める「アログルーミング」には、目的や機能に明確な違いがあります。それぞれの特徴を比較してみましょう。

特徴セルフグルーミング(自己)アログルーミング(相互)
行動の内容自分の体を自分で舐める他の猫(仲間)を舐める
主な目的清潔の維持、体温調節、リラックス(転位行動)社会的絆の形成、匂いの共有、緊張の緩和
舐める部位全身(届く範囲すべて)頭、首、耳周りなど(自分では届かない場所)

セルフグルーミングは、猫が起きている時間の約30~50%も費やすといわれる重要な日課。主な目的は、抜け毛や汚れを取り除く「清潔の維持」や、体温調節です。また、ちょっと失敗して恥ずかしい時や、ストレスを感じた時に気持ちを落ち着かせる「転位行動」としても行われます。

一方、アログルーミングは「社会的グルーミング」とも呼ばれます。相手の頭や首、耳の後ろなど、自分では舌が届かない場所を舐めてあげるのが特徴です。

これは単なる汚れ落としではありません。仲間同士の絆を深めたり、グループ特有の匂いを共有したりするための、大切なコミュニケーション手段なのです。

自分のメンテナンスか、相手との対話か。そこには明確な線引きがあると言えるでしょう。

片方だけが一方的に舐める理由とは?

片方だけが一方的に舐める理由とは?

「いつもAちゃんがBちゃんを舐めてばかりで、逆は全然見ないな……」そんなふうに感じたことはありませんか? 実はこれ、猫の世界では決して珍しいことではありません。

一方的な毛づくろいには、いくつかの理由が考えられます。

上下関係

「舐める側がボスで、舐められる側が部下」こんな話を聞いたことがあるかもしれません。実際、1998年に発表されたRuud van den Bosという研究者の論文では、集団内で順位の高い猫が、低い猫を舐める頻度が高いという傾向が報告されています。[1]

イメージとしては、ボス猫が「お前は俺の仲間だからな、いい匂いをつけてやるぞ」と、自分の匂いを相手に上書きしてマーキングしているような感覚に近いかもしれません。強い立場の猫が、相手を「ケアしてあげる」ことで、自分の余裕や自分の優位性を示しているという解釈です。

ただし、これはすべての猫に当てはまるわけではありません。「舐めているからボス!」と決めつけるのではなく、あくまで「そういう傾向があるかも?」程度に捉えておくのが賢明です。最近の研究では、「上下関係だけで説明するのは無理がある」という見方も強まっています。

攻撃の代替行動

ちょっと驚くかもしれませんが、毛づくろいは「攻撃の代わり」として行われることもあります。
真正面から喧嘩をして怪我をするのは、猫にとってもリスクが高いもの。そこで、イラッとした気持ちや攻撃的な衝動を、あえて「舐める」という行動に置き換えて発散しているという説です。

先ほどのvan den Bos(1998)の研究でも、アログルーミングの約35%で、その前後に攻撃的な行動(威嚇やパンチなど)が見られたそうです。[1]

「お前なんか嫌いだ!……でも噛みついたら怒られるし、とりあえず激しく舐めてやる!」そんな複雑な心境なのかもしれません。舐め方が妙に力強かったり、執拗だったりする場合は、このパターンの可能性があります。激しい喧嘩を避けるための、猫なりの賢い処世術と言えるでしょう。

匂い付け

猫にとって「匂い」は名刺や身分証明書のようなものです。仲間の猫を舐めることには、自分の唾液の匂いを相手に付け、「共通のグループ臭」を作り出す目的があります。

これを「アロラビング(体をこすりつける行動)」とセットで行うことで、「こいつは俺の仲間だ」「我々のテリトリーの一員だ」と再確認しているのです。

特に、病院から帰ってきた猫や、シャンプー直後の猫などに対して、同居猫が執拗に舐めるのは、変わってしまった匂いを元に戻そうと必死になっているのかもしれません。

相手を落ち着かせる行動

同居猫が何かに驚いていたり、不安そうにしていたりするとき、母猫が子猫を舐めて落ち着かせるように、「大丈夫だよ、落ち着いて」となだめるために舐めてあげることがあります。例えば、雷が鳴って怖がっている猫を、もう一匹の肝が据わった猫が舐めてあげるケースです。

グルーミングには、される側だけでなくする側の心拍数を下げる効果もあると言われています。舐めることで自分自身の気持ちも落ち着かせようとしているのかもしれませんね。

性格差

単純に「性格」の問題というケースも大いにあります。人間にも「お世話好きでマメな人」と「やってもらうのが好きなちゃっかり屋さん」がいますよね。猫も同じです。

母性が強くて面倒見の良い猫は、相手が誰であろうとせっせと世話を焼きます。一方で、甘えん坊で子猫気分が抜けない猫は、誰かに舐めてもらうことを好みます。科学的な証明は難しい部分ですが、多頭飼いの現場では「個性の違い」として片付けられるケースも少なくありません。

アログルーミングだけで上下関係は決まらない?

アログルーミングだけで上下関係は決まらない?

猫の社会は、犬のような縦社会(リーダー制)とは違い、もっと緩やかで流動的です。場所や時間、その時の気分によって優位性が入れ替わることもよくあります。例えば、「ご飯の時は食いしん坊のAが強い」「高い場所の取り合いではBが譲らない」といった具合です。

近年の猫の行動学ガイドラインでも、「支配・服従」という単純なラベル貼りは推奨されていません。アログルーミングの向きだけでなく、

  • すれ違う時にどちらが道を譲るか?
  • トイレや寝床を独占していないか?
  • 視線を合わせた時にどちらが逸らすか?

といった複数の行動を総合的に見て判断する必要があります。「舐める=ボス」という図式は、あくまで一つのヒントに過ぎないと考えましょう。

舐めていたのに突然噛むのはなぜ?

舐めていたのに突然噛むのはなぜ?

「あんなに気持ちよさそうに舐めていたのに、いきなりガブッ!」これ、多頭飼いあるあるですよね。まるでジキルとハイドのような急変ぶりですが、猫なりにちゃんとした理由があるんです。

刺激が強すぎた

猫の皮膚感覚はとても敏感です。最初は気持ちよかったグルーミングも、長時間同じ場所を舐め続けられると、だんだんと「痛い!」「しつこい!」という不快感に変わっていきます。これは、飼い主さんが猫を撫でているとき、突然ガブッと噛まれる「愛撫誘発性攻撃」という現象に似ています。

舐めている側の猫の舌はザラザラしていますから、何回も擦られるとヒリヒリしてくるのでしょう。「もう十分! やめて!」というサインとして、とっさに口が出てしまうのです。これは悪意があるわけではなく、反射的な拒絶に近い反応です。

じゃれ合いへの移行

舐め合うことでお互いの距離が縮まり、気分が高揚してくると、それが「遊び」のスイッチを押すことがあります。特に若い猫や活動的なオス猫同士ではよく見られる光景です。

最初は優しく毛づくろいをしていても、「もっと激しく遊ぼうぜ!」という合図として甘噛みが入ります。そこから取っ組み合いのプロレスに発展するのは、コミュニケーションの一環です。人間から見ると喧嘩に見えるかもしれませんが、お互いに楽しんでいるなら問題ありません。

優位性の主張

前述したように、アログルーミングがマウンティング(優位性の誇示)の一環である場合、噛むことでさらにダメ押しをしている可能性があります。

首筋を噛んで押さえつけるような動作は、相手の動きを封じて「自分が上だ」とわからせる行動に近いものです。これがエスカレートすると、本気の喧嘩に発展してしまうこともあります。

耳の中やおしりまで舐めるケースもある?

耳の中やおしりまで舐めるケースもある?

SNSや掲示板などを見ていると、「うちの子は相棒の耳の中まで掃除してあげてます」「お尻の穴まで舐めてあげてて、ちょっと引く……」なんて投稿を見かけることがあります。

例えば、ある飼い主はRedditでこのような投稿をしています。

Anyway, my friendly female used to enjoy being groomed on the top of the head/neck by my previous male. This male care is super friendly and eager to fill that role for her. The last couple of days I have noticed he has been obsessed about sniffing, and I think licking her butt hole.
(とにかく、うちの人懐っこいメス猫は、以前いたオス猫に頭や首を毛づくろいしてもらうのが好きでした。今いるオス猫もすごく友好的で、彼女のためにその役割を喜んで引き継ごうとしています。ただここ数日、彼が執拗に彼女の匂いを嗅ぎ回っていて、どうやらお尻の穴まで舐めているようなんです。)

出典:Reddit

研究レベルでは、アログルーミングの多くは頭や首に集中するとされていますが、仲の良いペアではお尻周りまで舐めることも珍しくありません。

ただし、急にしつこく耳やお尻を舐めるようになった場合は、病気が隠れていて「匂い」が気になっている可能性もあります。念のため、獣医さんにチェックしてもらうと安心ですね。

オス同士でもアログルーミングをするの?

オス同士でもアログルーミングをするの?

「オス同士だと、縄張り争いで喧嘩ばかりするんじゃない?」そんなイメージを持っている人も多いでしょう。でも、実はそうとも限りません。前述のvan den Bos(1998)の研究では、少々意外な事実が報告されています。

ある去勢済み猫のグループを観察したところ、アログルーミングの組み合わせで最も多かったのが、なんと「オス同士」だったのです。その割合は全体の過半数を占めていました。次に多かったのが「オスとメス」のペアで、逆に「メス同士」のグルーミングはごくわずかだったそうです。[1]

もちろん、これは特定の環境で暮らす猫たちのデータなので、世界中の全ての猫に当てはまるとは言い切れません。たまたまグルーミング好きなオスが多いグループだった可能性もあります。ただ、少なくとも「オスだから仲良くできない」という定説は、必ずしも正しくないと言えそうです。

血縁関係(親子・兄弟)やなじみ度との関連は?

血縁関係(親子・兄弟)やなじみ度との関連は?

血の繋がった親子や兄弟姉妹は、強い絆で結ばれていることが多いです。幼い頃から一緒に育ち、お互いの匂いや性格を熟知しているため、アログルーミングの頻度も高くなります。

例えば、Curtisら(2003)の研究では、血縁関係にある個体は、そうでない個体よりも近くにいる頻度が高く、アログルーミングも多い傾向があると報告されています。[2]

しかし一方で、前述のvan den Bos(1998)の研究では、血縁の有無でアログルーミングの頻度に大きな差はなかったというデータも示されています。[1]研究によって結果が異なるということは、「血縁は重要だが、絶対的な決定打ではない」ということです。

たとえ赤の他人(他猫)同士でも、一緒に暮らした時間が長く、互いの存在に慣れ親しんでいる(なじみ度が高い)ペアであれば、血縁と同じくらい深い絆で結ばれるのです。

Crowell-Davisら(2004)のコロニー研究でも、血縁のない猫たちが協力して子育てをしたり、グルーミングし合ったりする様子が観察されています。[3]つまり、遺伝的な繋がりよりも、一緒に過ごした時間の長さと質が、グルーミングの関係性を左右する重要な鍵だと言えるでしょう。

アログルーミングをしない猫同士は仲が悪いの?

アログルーミングをしない猫同士は仲が悪いの?

「うちの子たち、全然舐め合わないから、不仲なのかな……?」と心配する飼い主さんもいますが、決してそんなことはありません。

人間にも、ハグをするのが好きな人と、適度な距離感を好む人がいますよね。猫も同じで、親愛表現のスタイルは個体によって千差万別です。

アログルーミングをしなくても、

  • 同じ部屋でなんとなく近くにいる
  • 鼻先を近づける(鼻チュー)
  • 体をこすりつける(アロラビング)

これらの行動が見られれば、彼らは十分に「同じ仲間」として認め合っています。「付かず離れずのドライな関係」という、彼らなりのベストな距離感なのかもしれません。

一部の猫がアログルーミングの輪に入れないのは?

一部の猫がアログルーミングの輪に入れないのは?

3匹以上の多頭飼いの場合、少し切ない光景を目にすることがあります。2匹は仲良く舐め合っているのに、もう1匹だけが遠くからそれを見ている、という状況です。いわゆる「仲間外れ」のような状態ですが、これは猫のグループ形成において自然に起こりうることです。

猫の社会グループは必ずしも「全員が全員と仲良し」である必要はありません。「AとBは仲良し」「BとCは普通」「AとCは不干渉」といった具合に、個別の関係性が複合的に存在しています。

輪に入れない猫がストレスを感じていなければ(食欲があり、隠れてばかりでなければ)、無理に仲良くさせる必要はありません。その子が安心して過ごせる居場所を確保してあげることが大切です。

猫が人間を舐める時は飼い主を下に見ているの?

猫が人間を舐める時は飼い主を下に見ているの?

「猫が私を舐めてくれるのは、下僕だと思っているから?」そんな自虐的なジョークをよく聞きますが、これに関しては心配無用です。

猫が人を舐めるのには、

  • 親愛の情を示している
  • 家族としての匂いをつけている
  • 汗の塩分が気になっている

など、ポジティブな理由がほとんどです。

人間に対して、「俺の方が強いぞ」とマウンティングするために舐めている可能性は極めて低いです。素直に「愛されているんだな」と受け取って、幸せなザリザリ感を堪能しましょう。

猫のアログルーミングと上下関係を理解して関係改善に活かす

猫のアログルーミングと上下関係を理解して関係改善に活かす

猫同士のアログルーミングの意味がわかってきたところで、ここからは実践編です。今の猫たちの関係性をどう見極め、どうサポートしてあげればいいのか、具体的な方法をご紹介します。

  • うちの猫たちの関係性は?観察すべきチェックポイント
  • しつこいグルーミングで喧嘩に発展?嫌がるサインと介入の基準
  • 多頭飼いでの上下関係によるストレスを減らす環境づくり
  • アログルーミングを通じて起こりうる感染症リスク

うちの猫たちの関係性は?観察すべきチェックポイント

うちの猫たちの関係性は?観察すべきチェックポイント

猫同士の仲が良いのか、それとも緊張状態にあるのか。グルーミング以外にも見るべきポイントはたくさんあります。

以下の表を参考に、愛猫たちの様子をチェックしてみてください。

チェック項目仲良しサイン(安定)緊張サイン(要注意)
休息時の距離体が触れ合う、または数十cm以内で寝る常に部屋の反対側など距離を取る
すれ違い鼻チュー、体をこすりつける、尻尾を立てる視線をそらす、避けて通る、シャーッと言う
追いかけっこ交代で追いかけ合う、爪を出さない一方的に追いかけ回す
場所取り譲り合う、一緒に使う一方が退くのを待つ、進路をブロックする

もし「緊張サイン」が多く見られる場合は、たとえグルーミングをしていても、ストレスを抱えている可能性があります。

しつこいグルーミングで喧嘩に発展?嫌がるサインと介入の基準

しつこいグルーミングで喧嘩に発展?嫌がるサインと介入の基準

舐め合いがエスカレートして喧嘩になりそうな時、飼い主はどこで止めるべきでしょうか?ほっておけばいいのか、すぐ止めるべきなのか悩みますよね。

介入すべき「嫌がりサイン」

喧嘩が勃発する前には、必ず「NO」のサインが出ています。

  • イカ耳: 耳を横や後ろに伏せる。
  • 瞳孔が開く: 目が黒目がちになり、見開いている。
  • 尻尾の動き: パタパタと激しく振り始める。
  • 体の硬直: リラックスしていた体が急に強張る。
  • 低い唸り声: 小さくても「ウー」という声が出たら即ストップ。

これらは「もう限界!」の合図です。放っておくと関係が悪化する恐れがあります。

上手な仲裁方法

ここで大切なのは、大声で怒鳴ったり、無理やり手で引き剥がしたりしないこと。猫の興奮をさらに煽ってしまいます。おすすめの仲裁方法は、「さりげなく気を逸らす」ことです。

  • 手をパンと叩いて音を出す
  • お気に入りのおもちゃを投げてみる
  • おやつ袋のカサカサ音をさせる
  • 二匹の間をゆっくり歩いて横切る

「喧嘩を止めた」のではなく、「楽しいことが起きたから中断した」という状況を作るのがコツです。これなら誰も嫌な思いをしませんよね。

多頭飼いでの上下関係によるストレスを減らす環境づくり

多頭飼いでの上下関係によるストレスを減らす環境づくり

猫同士のいざこざの多くは、環境を見直すことで改善できます。キーワードは「選択肢を増やすこと」です。

資源(リソース)を分散させる

トイレ、食事場所、水飲み場、爪とぎ。これらの生活に必要なものが一箇所に固まっていると、そこで待ち伏せや鉢合わせが発生しやすくなります。家のあちこちに分散させて配置しましょう。

基本ルールは「猫の数+1」です。「あっちのトイレや水飲み場が塞がっていても、こっちが使える」という状況を作ることで、無駄な争いやストレスを減らすことができます。

逃げ場所を確保する

猫は距離でストレスを調整する生き物です。嫌な相手がいれば、物理的に距離を取りたいと考えます。しかし、狭い室内で逃げ場がないと、どうしても衝突が増えてしまいます。

  • 高さを活用する: キャットタワーや棚の上など、高い場所を増やす
  • 隠れ家を作る: ダンボールや隠れ家タイプのベッドなど、隠れられる場所を作る

頭数プラス1つ以上の「くつろぎスポット」を用意してあげましょう。

遊びを充実させる

エネルギーが余っていると、退屈しのぎに他の猫へちょっかいを出してしまいがちです。特に若いオス猫は体力が有り余っています。

1日合計15分~30分程度で良いので、おもちゃを使ってハンティング本能を満たしてあげましょう。知育玩具を活用して、頭を使わせるのも良いストレス発散になります。

アログルーミングを通じて起こりうる感染症リスク

最後に、健康面でのリスクについても少し触れておきましょう。グルーミングは唾液を交換する行為です。これは、猫白血病ウイルス(FeLV)や猫カリシウイルス、猫ヘルペスウイルスなど、唾液を介して伝染する可能性のある病気がうつるリスクがあるということでもあります。

とはいえ、完全室内飼いで、ワクチン接種とウイルス検査が済んでいる猫同士なら心配はいりません。注意が必要なのは、新しく猫を迎える時です。先住猫と対面させる前に、必ず動物病院で検査を行い、感染症がないことを確認してから対面させるようにしましょう。

>>公益社団法人 日本獣医師会
>>公益社団法人 日本動物病院協会

まとめ:猫のアログルーミングと上下関係を正しく理解しよう

今回の記事のまとめです。

  • 舐める側が優位な傾向はあるが必ずしも絶対的な上下関係とは限らない
  • 喧嘩を避けるために緊張を和らげる転位行動として舐めることもある
  • 舐められている最中の噛みつきは刺激が強すぎたサインかもしれない
  • 親や兄弟など血縁関係がある猫や長く一緒に暮らす猫ほど頻繁に舐め合う
  • 耳や尻尾の動きを細かく観察して嫌がっているかどうかを判断する
  • 喧嘩に発展しそうな時は大きな音やおもちゃで気を逸らして仲裁する
  • トイレや食事場所を分散させて無用な接触や猫同士の争いを減らす

一方的に舐める行動には、愛情だけでなく優位性のアピールや匂い付けといった意味も隠されています。大切なのは、2匹がリラックスして過ごせているかどうかです。

もし嫌がるサインが見えたら、さりげなく仲裁してあげたり、環境を変えてあげたりしてみてください。猫たちの無言の会話を理解して、みんなが心地よく過ごせる空間を作っていきましょう。

参考文献

  1. Van den Bos R. (1998). The function of allogrooming in domestic cats (Felis silvestris catus); a study in a group of cats living in confinement. Journal of Ethology.
  2. Curtis TM. et al. (2003). Influence of familiarity and relatedness on proximity and allogrooming in domestic cats (Felis catus). American Journal of Veterinary Research.
  3. Crowell-Davis SL. et al. (2004). Social organization in the cat: A modern understanding. Journal of Feline Medicine and Surgery.
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