猫が一匹で暇そう？一匹飼いと二匹飼いを徹底比較！幸せなのはどっち？

窓辺でうとうと、一日中寝てばかり…。そんな姿を見ると、「うちの猫は一匹で暇そうだな」「長い留守番はやっぱり寂しいのかな？」と、胸がキュッとなりますよね。そして、ふと頭をよぎるのが、「猫の一匹飼いと二匹飼いって、どっちがこの子にとって幸せなんだろう？」という疑問。

新しい家族を迎えることは、大きな喜びであると同時に、猫同士のストレスや相性の問題、気になる年間費用は月いくら変わるのか、といった現実的な悩みも伴います。「二匹目を迎えて後悔した」という声や、「猫は1匹が幸せなのでは？」という意見もあり、決断するのは簡単ではありません。

この記事では、本当に猫が一匹で暇そうなのか、そして猫の一匹飼いと二匹飼いのリアルなメリット・デメリットを、様々な角度から徹底的に掘り下げていきます。愛猫にとって最良の選択をするために、ぜひじっくりと読み進めてみてください。

猫が一匹で暇そうは勘違い？一匹飼いと二匹飼いはどっちが幸せ？

「猫が一匹で暇そうに見える…」この悩みは、多くの飼い主が一度は抱える感情かもしれません。しかし、その”暇そう”な姿は、本当に退屈のサインなのでしょうか。猫はもともと単独で狩りをして生活してきた動物であり、一人の時間を静かに過ごすことを好む性質も持っています。

この章では、猫の一匹飼いと二匹飼い、それぞれのメリットとデメリットを掘り下げ、どちらの飼育スタイルがより幸せなのかを多角的に考察していきます。猫の性格や飼い主の環境によって最適な形は異なります。愛猫にとっての真の幸せを見つけるためのヒントを探っていきましょう。

【前提】猫のストレスを解決するのは飼い主の役目！

猫が快適な毎日を送れるか否かは、飼い主にかかっています。猫は言葉を話せないため、その行動や様子の変化からストレスサインを読み解き、原因を取り除いてあげるのが飼い主の重要な役目です。

「暇そうだから」という理由だけで安易に二匹目を迎えるのは、既存の環境を大きく変えることになり、時として事態を悪化させる可能性すらあります。新しい猫の存在が、かえって先住猫や飼い主の大きなストレス源になってしまうケースも少なくありません。

まず考えるべきは、今の住環境や飼い主との関わり方を見直すこと。遊びの時間は足りているか、安心してくつろげる場所は確保されているかなど、猫の視点に立って生活を点検してみましょう。愛猫のストレスを的確に理解し、解決策を講じることが、幸せな猫ライフの第一歩と言えるでしょう。

猫が暇そうに見えるときの行動サイン

猫がゴロゴロ寝ていたり、一点をじっと見つめていたりする姿は、人間から見ると「暇なのかな？」と思えてしまいます。

しかし、猫にとって睡眠は非常に重要で、1日の大半を寝て過ごすのはごく自然なこと。また、一点を見つめている時は、人間には聞こえない小さな物音や気配に集中している「狩り」のモードに入っているのかもしれません。

とはいえ、本当に退屈を感じているサインもあります。

• 飼い主に過剰にアピールする： 足元にスリスリしてきたり、「ニャー」と長く鳴いたり、パソコン作業を邪魔してきたりするのは、「構ってほしい」というサインかもしれません。
• 過剰な毛づくろい： 暇を持て余して、普段以上に毛づくろいをしてしまうことがあります。
• イタズラが増える： ティッシュで遊んだり、物を落としたり、家具で爪とぎをしたり…。退屈しのぎにイタズラをしてしまう子もいます。

これらのサインが見られたら、もしかしたら少し刺激が足りていないのかもしれません。おもちゃで遊んであげる時間を増やしたり、キャットタワーを設置して上下運動ができるようにしてあげたりすると、退屈を紛らわせることができるでしょう。

一匹飼いの猫は本当に寂しいのか？

「一匹飼いはかわいそう」という声を耳にすることもありますが、必ずしもそうとは限りません。猫の祖先であるリビアヤマネコは、基本的に単独で狩りをして生活する動物でした。その名残から、現代のイエネコも自分の縄張りを持ち、単独で行動することを好む性質が色濃く残っています。

もちろん、子猫の頃から人間と暮らしてきた猫は、飼い主に対して強い愛着を抱きます。そのため、留守番が長時間に及ぶと寂しさを感じることもあるでしょう。しかし、それは「猫がいないと寂しい」というよりは、「大好きな飼い主がいなくて寂しい」という感情に近いのかもしれません。

猫にとって重要なのは、安心できる縄張り（家）と信頼できる飼い主の存在です。一匹だからといって、必ずしも不幸であると結論づけるのは早計でしょう。その子の性格を尊重した環境が提供されていれば、一匹でも十分に幸せな生活を送ることができるのです。

実は猫は一匹が幸せ？単独飼育を好む猫の性格的特徴

猫の中には、他の猫と暮らすよりも、一匹だけで過ごすことを好むタイプが存在します。もし愛猫が以下のような性格や特徴に当てはまるなら、無理に二匹目を迎える必要はないかもしれません。

まず、縄張り意識が人一倍強い猫です。お気に入りの場所を誰にも譲らなかったり、来客に威嚇したりするような子は、新しい猫を侵入者と見なして強いストレスを感じる可能性が高いでしょう。

次に、飼い主への独占欲が非常に強い、いわゆる「べったりタイプ」の猫も一匹飼いに向いています。飼い主の愛情が分散されることに強い嫉妬心を抱き、新入り猫をいじめてしまったり、飼い主へのアピールとして問題行動を起こしたりすることがあります。

その他、シニア期の猫や、病気療養中の猫、そして成猫になるまで他の猫と接する機会がなかった猫も、新しい環境の変化に対応するのが難しく、単独でのんびりと過ごさせてあげる方が幸せなケースが多いと言えるでしょう。

二匹飼いのメリット・デメリットを徹底解説

猫の多頭飼いを検討する際には、良い面と大変な面の両方を冷静に比較検討することが不可欠です。感情だけで突っ走らず、ご自身の家庭環境や猫の性格と照らし合わせて判断しましょう。

最大のメリットは、やはり猫同士で遊び相手ができることでしょう。追いかけっこをしたり、じゃれ合ったりする中で社会性を学び、運動不足の解消にも繋がります。飼い主が留守にしがちな家庭では、猫が寂しさを感じる時間を減らしてあげる効果も期待できます。

一方で、デメリットも無視できません。最も大きな問題は猫同士の相性です。万が一、相性が悪ければ、猫たちは常にストレスを感じながら生活することになり、最悪の場合は隔離が必要になることも。さらに、金銭的負担が単純に増えることや、病気の感染リスクも考慮する必要があります。

以下に、二匹飼いのメリットとデメリットを表にまとめました。

項目	メリット	デメリット
猫の心理・行動面	・留守番中の寂しさや退屈を軽減できる ・遊び相手がいることで運動不足解消に繋がる ・社会性を学び、力の加減などを覚える	・猫同士の相性が悪いと、喧嘩やストレスの原因になる ・先住猫がストレスで体調を崩す可能性がある ・新入り猫が馴染めないことがある
飼い主の負担	・猫同士で遊んでくれるため、相手をする手間が減る場合がある ・愛猫たちの微笑ましい姿に癒される	・食費、医療費、消耗品費などの金銭的負担が増加する ・世話（トイレ掃除、食事の準備など）の手間が増える ・病気が一匹にうつると、もう一匹にも感染するリスクがある
住環境	・特になし	・より広い飼育スペースや、複数のトイレが必要になる ・鳴き声や運動音が大きくなる可能性がある

気になる年間費用を確認！一匹飼いと二匹飼いで月いくら変わる？

猫を家族に迎える上で、経済的な負担は避けて通れない問題です。二匹目を迎えるということは、一匹飼いと比べて出費が大幅に増えることになります。

猫一匹あたりの飼育にかかる年間費用は、ペット保険のアニコム損害保険株式会社が発表した「ペットにかける年間支出調査（2024年）」によると、平均で178,418円となっています。これを月々に換算すると、約14,868円です。

項目	年間費用（1匹あたり）
フード・おやつ	61,283円
日用品（トイレ砂など）	11,079円
ケガや病気の治療費	32,458円
ワクチン・予防費	13,977円
ペット保険料	29,791円
その他（光熱費など）	29,830円
合計	178,418円
月額換算（目安）	約14,868円

もちろん、二匹目を飼う場合の費用が単純に2倍になるわけではありません。消耗品費や医療費は頭数分かかりますが、キャットタワーやケージ、おもちゃなどは共有できるものも多いからです。

とはいえ、トイレは「頭数＋1個」が理想とされており、食器もそれぞれ用意する必要があるため、初期費用はそれなりにかかります。また、医療費はいつどんな病気やケガをするか予測できないため、2倍以上かかる可能性も考慮しておく必要があります。

二匹目を迎える前には、将来にわたって安定的に費用を捻出できるか、慎重に検討することが極めて重要です。

実際に二匹目を飼い始めた人のリアルな声

SNSや掲示板には、安易に二匹目を迎えてしまい、悩んでいる飼い主の声が数多く投稿されています。理想と現実のギャップに悩む前に、こうした経験談から学ぶことは非常に多いはずです。

例えば、Yahoo!知恵袋にはこんな投稿がありました。

仲良くならない猫たちは、もうずっとそうでしょうか。
１年ほど前にも質問させて頂きました。
先輩猫と、新入りが全く性格が合わないために仲良くなりません。

出典：Yahoo!知恵袋

３歳のメス猫(メインクーン)を飼っていますが、先日同種のオス猫4ヶ月を迎えました。
先住猫のメス猫は、威嚇するとごろか怯え、カーテンや部屋のすみっこ、寝室に隠れて出てきません。

出典：Yahoo!知恵袋

先住猫と新入り猫の相性が悪いというのは、最もよくある失敗談の一つです。飼い主としては仲良くしてほしいと願っても、猫たちの気持ちはコントロールできません。結果的に、家の中で常にお互いを警戒し、威嚇し合うような状態が続くと、双方にとって大きなストレスとなります。

また、先住猫がストレスから食欲不振になったり、飼い主にまで威嚇するようになったり、トイレ以外の場所で粗相をしたりといった問題行動を起こすこともあります。

多頭飼いは頭おかしいと言われる理由

インターネット上で「多頭飼いは頭おかしい」といった過激な言葉を見かけることがあります。これは、一部の無責任な飼い主による「多頭飼育崩壊」のイメージが強く影響していると考えられます。

多頭飼育崩壊とは、飼い主が適切な管理能力を超えて動物を飼育してしまい、経済的な困窮や不衛生な環境、動物への虐待につながってしまう悲惨な状況を指します。ニュースなどでこうした事例が報道されるたびに、「無責任な多頭飼い」に対する批判的なイメージが強まってしまうのです。

しかし、これはあくまで一部の極端な例です。適切な知識、経済力、そして何よりも一頭一頭への深い愛情を持って管理されている多頭飼いは、決して非難されるべきものではありません。重要なのは、飼育できる頭数の上限を飼い主自身が冷静に見極め、すべての猫に対して責任を持つことです。

二匹飼いする前に：一匹で暇そうな猫のために飼い主ができること

猫が一匹で暇そうに見えるからといって、すぐに二匹目を迎えるのが唯一の解決策ではありません。二匹飼いを検討する前に、今の環境の中で飼い主ができる工夫がたくさんあります。

新しい家族を迎えるという大きな決断の前に、まずは愛猫の生活環境を見直してみましょう。この章では、猫が退屈しないための具体的な工夫や、万が一のときに備えた心のケアについて解説します。

留守番が多い場合に猫が快適に過ごすための工夫

飼い主が仕事などで家を空ける時間が長いと、猫はその多くを寝て過ごします。これは猫にとって自然なことですが、あまりにも刺激が少ない環境は、退屈やストレスにつながりかねません。そこで重要になるのが「環境エンリッチメント」という考え方です。

上下運動ができるスペースを用意する

猫は、祖先がもともと木の上で生活していたこともあり、上下運動を好む動物です。高い場所は外敵から身を守れる安全な避難場所であり、縄張り全体を見渡せる絶好の監視ポイントでもあります。

キャットタワーやキャットウォークを設置したり、家具の配置を工夫して猫が棚の上などに登れるようにしたりするだけで、猫の行動範囲はぐっと広がります。運動不足の解消はもちろん、精神的な満足感も与えることができる、非常に効果的な方法です。

外の景色を眺められる場所を用意する

家の中で過ごす猫にとって、窓の外の景色は最高のエンターテイメントです。鳥が飛んでいたり、虫が通ったり、人が歩いていたり…そのすべてが猫の好奇心を刺激し、退屈を紛らわせてくれます。

出窓や窓際に猫用のベッドやクッションを置いて、快適な「キャットTV」観覧席を作ってあげましょう。外を眺めるだけでも、猫は多くの情報を得て、脳に良い刺激を受けています。ただし、網戸の破損や脱走にはくれぐれも注意し、安全対策は万全に行ってください。

自動給餌器でおやつタイムを分割する

置き餌は手軽ですが、猫の「狩り」の本能を満たす機会を奪ってしまいます。そこでおすすめなのが、タイマー式の自動給餌器や知育トイの活用です。一日の食事量を数回に分け、決まった時間に少量ずつ出てくるように設定すれば、猫は「次のご飯はいつかな？」と楽しみに待つようになります。

また、転がすと少しずつフードが出てくるタイプの知育トイは、遊びながら食事をすることができ、退屈な時間を狩りの時間に変えることができます。これにより、早食いを防止し、満足感も高まるという一石二鳥の効果が期待できます。

誤飲しやすい小物や危険物は片付ける

安全な環境を整えることも大切です。猫が退屈しのぎに、思わぬものをオモチャにしてしまうことがあります。特に、輪ゴムやビニールの切れ端、紐、アクセサリーといった小物は、誤飲してしまうと腸閉塞など命に関わる事態を引き起こす可能性があり、非常に危険です。

また、観葉植物の中には猫にとって有毒なものも少なくありません。人間の薬やタバコ、化学薬品なども絶対に猫がアクセスできない場所に保管する必要があります。飼い主が留守にする際は、猫が過ごす部屋に危険なものがないか、出かける前にもう一度チェックする習慣をつけましょう。

帰宅後にたっぷりスキンシップを図る

どんなに素晴らしい環境を用意しても、飼い主とのコミュニケーションに勝るものはありません。仕事で疲れて帰ってきた後でも、まずは愛猫を優しく撫で、声をかけてあげましょう。そして、1日に10分～20分で良いので、おもちゃを使って本気で遊んであげましょう。

猫が獲物に見立てて夢中になれるような遊びは、身体的な欲求だけでなく、精神的な満足感も満たしてくれます。短い時間でも集中して関わることで、猫との絆がより一層深まるはずです。

猫二匹のうち一匹が死んだときの残された猫の心のケア

猫を飼っていると、いつかは必ず訪れるのが「別れ」です。猫2匹のうち1匹が死んだ時、残された猫は大きなショックを受け、元気をなくしてしまうことがあります。

「死」という概念を猫がどこまで理解しているかは定かではありませんが、「いつも一緒にいた仲間がいなくなった」という事実は認識していると考えられています。

残された猫には、以下のような行動の変化が見られることがあります。

• 食欲がなくなる
• 亡くなった猫を探して鳴き続ける
• 元気がなくなり、遊ばなくなる
• 飼い主さんにいつも以上に甘えるようになる

このようなとき、飼い主自身も深い悲しみの中にいると思いますが、残された猫のケアを意識してあげましょう。無理に元気づけようとする必要はありません。ただ、いつもより優しく声をかけたり、そっとそばにいて撫でてあげたりするだけでも、猫は安心感を得ることができます。

また、環境を急に変えるのは避け、食事やトイレの場所はそのままにしてあげましょう。寂しそうだからとすぐに新しい猫を迎えるのは、多くの場合、逆効果です。残された猫が心の整理をし、新しい日常に慣れるまで、焦らずゆっくりと時間かけて寄り添ってあげることが何よりも大切です。

二匹の猫を同時に迎え入れるなら兄弟猫や子猫同士がおすすめ

もし、これから猫を飼い始めようと考えていて、かつ将来的に多頭飼いを視野に入れているのであれば、最初から二匹一緒に迎えるという選択肢もあります。特に、生まれた時から一緒に過ごしている兄弟猫や、同じ環境で育った月齢の近い子猫同士は、理想的なペアと言えるでしょう。

すでにお互いの存在を受け入れ、じゃれ合い方や力加減といった「猫社会のルール」を学んでいるため、新しい環境にもスムーズに順応しやすいのが最大のメリットです。先住猫と新入り猫という関係性で発生しがちな、縄張り争いや嫉妬といったトラブルを、最初から回避することができます。

保護猫の譲渡会などでは、仲良しの兄弟猫を一緒に迎えてくれる家族を優先するケースも多くあります。これから猫との生活を始める方は、ぜひこうした選択肢も検討してみてください。

まとめ：猫が一匹で暇そうなら、二匹飼いの前に対策を講じよう！

今回の記事のまとめです。

• 猫は元来単独行動を好む動物で、一匹でも幸せになれる
• 過剰なグルーミングや問題行動の増加は、退屈のサインかも
• 二匹飼いは相性リスクや、倍増する医療費などの覚悟が必須
• 新しい猫を迎える前に、まず今の飼育環境を見直すことが先決
• キャットタワーを設置して、猫が大好きな上下運動を充実させる
• 知育トイやおもちゃを活用し、猫の「狩り」の本能を刺激しよう
• 帰宅後の短い時間でも、集中して遊んであげることがとても大事

愛猫が暇そうにしている姿は、飼い主として気になりますよね。しかし、それは必ずしも不幸のサインではありません。猫は本来、一匹で過ごす時間も大切にする動物なのです。

二匹飼いは、猫同士の社会性を育む素晴らしい機会ですが、相性の問題や経済的負担の増加という現実も伴います。安易に結論を出す前に、まずは今の環境でできることを試してみましょう。

もし二匹目を迎える決断をするなら、焦らずに十分な準備期間を設け、先住猫の気持ちを最優先に進めてあげてください。この記事が、最適な選択をするための手助けとなれば幸いです。

＞＞パンフレット「もっと飼いたい？」｜環境省